第3クール SAMBA (サンバ2) 合同レッスン①

リズム:サンバ②
課題曲:Água de Chuva no Mar



ベッチ・カルヴァーリョ (1946 – 2019) について:

歌手、コンポーザー、 器楽演奏者。
前世代の重要な作曲家に作品の価値、重要性を見出し、1980 年代に入るとサンバ界の重要な人物となり、新しい才能あるアーティストを世に伝える”マドリーニャ・ド・サ ンバ”=サンバの代母(キリスト教で洗礼に立ち会い受洗者の保証人)として重要な役割 を果たす。
30枚以上のアルバムをリリースし、サンバ界における重鎮、トップアーティス トの一人となる。

母親がクラシックピアノ、そして祖父はバンドリン、ギターを演奏する音楽ファミリー に生まれ育った。母親からギターをもらい, 1960年代には、João Gilbertoのギター奏法 や、ボサノバの影響を受けトム・ジョビンのようなアーティストのお家で行われていた音楽集会で歌ったり、楽器を演奏したりしていた。

1968年国際歌謡音楽祭に出場し“Andança”の曲で3位を受賞。
この曲は、ベッチ が後に人生を捧げることとなる”サンバ”のスタイル、特徴がないものだった。

歌手ベッチ・カルバーリョとして、確立されたのは2枚目のアルバムで、サンバのレパートリーに焦点を当てたものだった。ネルソン・カヴァキーニョが、ベッチの為に書き下ろした「Folhas Secas=枯葉」のレコーディングの当時、ネルソンはすでに60歳を超えていて、ネルソンが最初のアルバムを録音する切っ掛けにもなった、重要な作品。

その後、カルトーラにも同じようなことが起こる。
ベッチが 1976年にLP ”Mundo Melhor=より良い世界”で“As Rosas Não Falam”沈黙のバラをレコーディングし、この楽曲がヒットしたことで、カルトーラがブラジル音楽で最も偉大な作曲家の1人として認識され、広く知れ渡る。

ベッチのキャリアとしてもう1つ成果を納めたのが、1978年のアルバム”De Pé no Chão”だった。このアルバムでは、※Cacique de Ramos/カシーキ・ヂ・ハモスのブロッコ (打楽器隊)のパゴージサークルの常連としての経験を持ったサンビスタ達がスタジオに、そのスタイルを持ち込んだことだった。そこで、サンバの革命が起こる!そこで際 立ったのは、サンビスタ(サンバ奏者)のアルミール・ギネトが奏でる、順応されたバンジョーの音色、チューニングされたカヴァキーニョだった。

※カシーキ・ヂ・ハモス=リオ市の無形重要文化財として今も存在するブロコ=(エスコーラよりも小規模で自由なカーニヴァル集団)

ベッチが、フンド・ジ・キンタルのグループを刺激し、新しい歌手、作曲家(ジョルジ・ アラガオン、アルミール・ギネト、ゼカ・パゴジーニョ、アルリンド・クルース、ソンブリー ニャ、ルイス・カルロス・ダ・ヴィラ)などに注目し、焦点(光)を当てた。 ベッチ・カルヴァーリョはこのLPで、ジョルジ・アラガン、ヂーダ、ネオシーによるサンバ「 Vou Festejar」を録音し、大成功を収めた。

翌年1979年にベッチ・カルヴァーリョは彼女のキャリアで更なる成功を収めることになった曲”Coisinha do Pai”を録音する。

1997年、ブラジル人(リオっ子)のNASA従業員の選択で、火星に送るロボットを起こす為のアラーム曲として選ばれ使われた。

ベッチは、1983年に発表したLPレコード”Suor no Rosto”で歌手として、カシーキ・ ヂ・ハモスの才能あふれる代弁者、広報的役割をし続けた。
ゼカ・パゴジーニョの最初のレコーディングは、Bethの招待によって実現した。このベッチとゼカが「Camarão Que Dorme a Onda Leva」のサンバをデュエット( Zeca Pagodinho / Arlindo Cruz / Beto Sem Braço )で録音。

1986年のベッチのLPレコードで、ボサノバのスタンダードとして有名なChega de Saudade=想い溢れて ( Tom Jobim / Vinicius de Moraes )を録音するが、ここではサンバとして演奏されている。

ベッチ・カルバーリョのサンバ学校”マンゲイラ”への情熱はカルトーラやネルソン・ カヴァキーニョとの友情から生まれたものだった。
1992年発売 LP盤 ”Pérolas - 25 anos de Sambaの”マンゲイラ賛美”も有名な曲。

1999年のLP盤のライブ録音”Pagode de Mesa”でベッチは、また別の素晴らしい 才能あるアーティスト、”Revelação”のグループであるシャンヂ・ヂ・ピラーレスを世に送り出す。

そして21世紀に入り2000年にLPライブ盤”Pagode de Mesa 2”でベッチが録音したのが、私たちが今回レッスンを行うこの曲、Água de Chuva no Mar(海の雨水)。

2010年ベッチは、時間の経過とともに悪化する脊椎(せきつい)を患い苦しみ、ス テージから遠のき、ライブをする回数も殆ど無くなった。
そしてついに2019年にこの世を去る。

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